こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 58
お互いのわが子を、同じ保育園あるいは幼稚園に通わせている母親が集まったとき 「〇○ちゃんって、とっても変わってるみたいね。小さくて無口なのに、みんなにのけものにされると、すぐ乱暴するそうじゃないの。先生にしかられると、黙って帰ってしまうこともあるそうよ」 などと話しているのを耳にすることがあります。
しかし、これは少しおかしなことです。「とっても変わっている」 というのは、何とくらべて変わっているというのでしょうか。おそらく、まわりと比較してのことでしょうが、はたしてそれで変わっていると決めつけてよいものでしょうか。
「変わっている」 その人自身の内側を十分に知ることを怠っておいて、「まわり」 という実にあいまいな物さしで 「変わり者」 にしてしまう。これは、とてもおかしなことです。
また、このようなうわさを口にする母親の気持ちの中には 「うちの子は変わり者でなくてよかった」 という思いがひそんでいることが少なくありません。
少しばかり極論かもしれませんが 「変わっている」 というのはそれだけ個性がある、逆に言えば 「うちの子はみんなと同じ」 と言うのは個性に欠けるということでもあります。人間はいくつになっても、常に変わっていくものです。もしも、「変わっている」 と言われたとしても、これらのことをよく見きわめ、「まわり」 という物さしに引きずられないように心がけたいものです。