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「かわいそう」 と思うだけが愛情ではない

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 54

午後になって 「やっぱり雨が降りだした」 日のこと。道で会った顔見知りのお母さんが 「朝子どもに、きょうはかさを持って行くように言ったのに持って行かなかったものですから……。子どもがかさを持ってきてくれるように電話をかけてきたんです」 と言い残して、わが子のかさを手に雨のなかを急ぎ足で学校へ……。その母親のうしろ姿を見送りながら、ふと、考えたことがありました。

それは、こんな時、学校へとんで行ってやるのが果して最善の策だろうか、ということです。雨は、道端に落ちた枯葉を強くたたくほどひどいものではありません。それに、学校から家までは子どもの足でかければ10分ほどの距離です。

「うちの子だけ雨にぬれたらかわいそう」 という気持はわかります。しかし、ときには 「かさを持ってるお友だちに入れてもらいなさい」 「かけて帰っておいで」 くらいの突き放した導き方が必要なのではないでしょうか。

「言うことを聞かないでかさを持っていかなかったバチよ」 などというのではなく、子ども自身でものごとを解決していくチャンスを与えるのです。子どもの要求に母親が応えることはかんたんです。しかし、度が過ぎると、知らず知らずのうちに、わが子を依頼心の強い甘えん坊にしてしまいます。

しつけには、時には、母親が出したい手を引っこめることも、出したい口を閉じることも大切なのではないでしょうか。「わが子がかわいそう」 と思うことだけが親の愛情ではないことを、わきまえておきたいものです。

投稿日:2007年10月03日(水) 09:15

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)