こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 52
乳のみ児を背負い、もう一人3才くらいの子を連れた母親が電車に乗りこんできました。車内の席はすっかり埋まり、すいているところはありません。すると、若い男の人が 「どうぞ」 と声をかけて席を立ちました。ところが、その母親はうなずく程度に頭を下げたと思うと 「あら、よかったね、おじさんが代わってあげるって」 と言いながら、3才くらいの子どもをすわらせました。自分は立ったままです。
これは乗り物の中でよく見かける光景ですが、見ているだけで腹が立ってしまいます。一つは 「赤ちゃんをおぶって大変だろう」 と思って席を代わってくれた人に対する、この母親の無神経さへの腹立ちです。もう一つは、子どものかわいがり方に対する腹立ちです。
こんなときは、もしも、子どもがすわろうとしても、それをきっぱり制し 「お母さんが赤ちゃんをおぶっているから、代わってくださったのよ」 と子どもは立たせておく──これが正しいしつけというものではないでしょうか。少なくとも、代わってくれた人への礼儀として、まず自分が座り、子どもがぐずってきたら交代するくらいの心配りをしてほしいものです。