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席をゆずってくれた人への礼儀

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 52

乳のみ児を背負い、もう一人3才くらいの子を連れた母親が電車に乗りこんできました。車内の席はすっかり埋まり、すいているところはありません。すると、若い男の人が 「どうぞ」 と声をかけて席を立ちました。ところが、その母親はうなずく程度に頭を下げたと思うと 「あら、よかったね、おじさんが代わってあげるって」 と言いながら、3才くらいの子どもをすわらせました。自分は立ったままです。

これは乗り物の中でよく見かける光景ですが、見ているだけで腹が立ってしまいます。一つは 「赤ちゃんをおぶって大変だろう」 と思って席を代わってくれた人に対する、この母親の無神経さへの腹立ちです。もう一つは、子どものかわいがり方に対する腹立ちです。

こんなときは、もしも、子どもがすわろうとしても、それをきっぱり制し 「お母さんが赤ちゃんをおぶっているから、代わってくださったのよ」 と子どもは立たせておく──これが正しいしつけというものではないでしょうか。少なくとも、代わってくれた人への礼儀として、まず自分が座り、子どもがぐずってきたら交代するくらいの心配りをしてほしいものです。

投稿日:2007年09月10日(月) 09:44

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)