こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 50
「うちの子は、負けずきらいで困ります」 という言葉をよく耳にします。ところが 「困ります」 という言葉の裏側に 「そんな強い心を持った子なんですよ」 と言った、むしろ、わが子自慢のにおいが感じられることがあります。
「負けずきらい」 ──たしかに強さを秘めた言葉です。
でも、子どもにこの言葉をあてはめる場合、十分に見きわめなければならないことがあります。それは、子どもの負けずきらいの中には、「人よりも自分がほめられたい」 「人よりも自分が認められたい」 「人よりも自分が人気ものになりたい」 「人よりも自分が注目されたい」 などという見栄っぱりなものに支えられていることが少なくないからです。
つまり、これは自分を人よりよく見せようとする淡い願望の表れにすぎず、ほんとうの意味での 「負けずきらい」 ではありません。
口先だけで人に負けることをきらう子どもは、やがては、わがままな人間として人にきらわれるようになったり、その果てに自分から落ちこんでしまうことにもなりかねません。
[人に負けるのがいやなら、人以上に努力する]──これがあれば、かりに人に負けたとしても、ただ人に負けたのを悔しがるのではなく、自分の努力が足りなかったことをこそ悔しがるようになり、自分に勝った人間を憎んだりうらやんだりするのではなく、その人間を尊敬するようにさえなります。これが、ほんとうの 「負けずきらい」 だと思うのですが、いかがでしょうか。