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「どうして」「どうして」と叱るのは動物の調教と同じ

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 47

「どうしてそんなことするの」 「どうして泣くの」 「どうしてそんないたずらするの」 「どうしてわからないの」 「どうして言うことをきかないの」 「どうしてそんなバ力なことするの」 「どうしておとなしくできないの」 「どうしてすききらいするの」 「どうしてそんなにぐずなの」 「どうしてちゃんとできないの」 「どうしてこんなこともできないの」 ──お母さんが2・3歳から5・6歳の子どもを叱るのを聞いていると、いちばん多いのは、この 「どうして」 です。

お母さんに、どうして 「どうして」 「どうして」 と言うのですか、なぜ、こんな言い方を子どもにしてしまうのですか、と訊ねたくなってしまいます。多分それは、子どもの心を思いやらないままに、ロ先だけで子どもを叱りつけるからでしょう。たいていのお母さんは 「どうしてそんなことを……」 などと言う時、思わず声を荒げています。子どもがお母さん自身の思いどおりにしてくれないので、腹が立っているにちがいありません。これは、子どものしつけのなかで最も注意しなければいけないことです。「どうして」 と言いたくなったら、少なくとも声を荒げず、静かに 「あら、どうしたの」 「泣いているのはなぜかな」 「できないのはどこか教えて」 と語りかけてやったらどうでしょう。すると、子どもは 「あのね、あのね……」 と自分の気持ちや考えを話してきます。お母さんは、これにやさしく耳をかたむけてやる、つまり、子どもの心を理解してやることが大切です。

子どもへの愛の根本は、子どもの人格を認めて、子どもを深くあたたかく理解することです。声を荒げて 「どうして……」 と叱るのは、とてもしつけなどではなく、動物の調教と同じだということを心にとめておかなければなりません。

投稿日:2007年08月08日(水) 09:48

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)