こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 47
「どうしてそんなことするの」 「どうして泣くの」 「どうしてそんないたずらするの」 「どうしてわからないの」 「どうして言うことをきかないの」 「どうしてそんなバ力なことするの」 「どうしておとなしくできないの」 「どうしてすききらいするの」 「どうしてそんなにぐずなの」 「どうしてちゃんとできないの」 「どうしてこんなこともできないの」 ──お母さんが2・3歳から5・6歳の子どもを叱るのを聞いていると、いちばん多いのは、この 「どうして」 です。
お母さんに、どうして 「どうして」 「どうして」 と言うのですか、なぜ、こんな言い方を子どもにしてしまうのですか、と訊ねたくなってしまいます。多分それは、子どもの心を思いやらないままに、ロ先だけで子どもを叱りつけるからでしょう。たいていのお母さんは 「どうしてそんなことを……」 などと言う時、思わず声を荒げています。子どもがお母さん自身の思いどおりにしてくれないので、腹が立っているにちがいありません。これは、子どものしつけのなかで最も注意しなければいけないことです。「どうして」 と言いたくなったら、少なくとも声を荒げず、静かに 「あら、どうしたの」 「泣いているのはなぜかな」 「できないのはどこか教えて」 と語りかけてやったらどうでしょう。すると、子どもは 「あのね、あのね……」 と自分の気持ちや考えを話してきます。お母さんは、これにやさしく耳をかたむけてやる、つまり、子どもの心を理解してやることが大切です。
子どもへの愛の根本は、子どもの人格を認めて、子どもを深くあたたかく理解することです。声を荒げて 「どうして……」 と叱るのは、とてもしつけなどではなく、動物の調教と同じだということを心にとめておかなければなりません。