昨日8月6日は 「広島に原爆が落とされた日」として紹介しましたが、9日が「長崎市に2発目の原爆が投下された日」、15日が「太平洋戦争に敗れた日」であることから、8月という月は、親子で戦争について考えるよいチャンスでもあります。
でも、ばくぜんと話をするのでなく、戦争について描かれた絵本や児童図書をなかだちにすると、より具体的でイメージもはっきりしたものになることでしょう。ぜひ気に入った本を手にとり読んであげたり、語り合ってみてください。推薦図書をいくつか紹介してみましょう。
「ひろしまのピカ」 丸木 俊/文と絵 小峰書店刊
広島を襲った原爆。みいちゃんが両親と逃げまどいながら見たものは、まさに地獄絵。人が落とさなければ落ちてこないピカが、鎮魂の祈りをこめて告発されています。世界20数か国で読まれています。
「かわいそうなぞう」 つちやゆきお/文 たけべもといちろう/絵 金の星社刊
太平洋戦争中の上野動物園。命令で餓死させられる3頭のぞう。そのぞうたちの死と飼育係の愛を通して、平和への願いがうたいあげられています。毎年終戦記念日に評論家の秋山ちえ子さんがが平和への願いをこめてラジオで朗読してきた名作。
「ちいちゃんのかげおくり」 あまんきみこ/文 上野紀子/絵 あかね書房刊
出征の前日、お父さんはちいちゃんに影送りの遊びを教えてくれました。無差別に人命を奪った空襲で、家族と離ればなれになった少女。幸せだった親子4人の影法師は、まるで記念写真のように空に映ります…。少女の死を通して、戦争の悲惨さが重く静かに訴えられています。
「チロヌップのきつね」 たかはしひろゆき/文と絵 金の星社刊
北海の孤島できつねの親子が平和にくらしていました。しかし、戦争の余波は、この親子にまでおよんできました。島の守備隊の兵士に子ぎつねが殺されてしまったのです。自然の平和をうちこわす人間の暴力が、厳しくみつめられた詩情豊かな絵本。
「八月がくるたびに」 おおえひで/文 篠原勝之/絵 理論社刊
長崎に投下された原爆。白い光が、ぴかっと光りわたりました。うつぶせたきぬえに、爆風がおそいかかりました。5歳で被爆し、苦しみを負って生きる少女。せいいっぱい生きて死んでいく兄。原爆の恐ろしさと、戦争への怒りが、深く描かれています。
「マヤの一生」 椋鳩十著 大日本図書刊
戦争に協力しない者はすべてにくまれた時代、食料不足のため、命令で捕らえられ殺された熊野犬のマヤ。このマヤを通して、命を奪う戦争の理不尽さが、厳しく問われています。
以上の他に、「一つの花」「シラカバと少女」「ゲンのいた谷」「火の瞳」など推薦したい本がありましたが、調べてみますと絶版になっていました。出版社の事情はわかりますが、こうした定評のあるロングセラーだけは、使命感に燃えて刊行を続けてもらいたいものです。