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「ブリヂストン美術館」 との出会い

先週の土曜日、たまたま近くの古本屋で 「セザンヌとブリヂストン美術館」(1982年・朝日新聞社刊) という本を見つけ、購入しました。この本は今はもちろん絶版、購入したいと思っているうち買いそびれてしまったものでした。

ブリヂストン美術館は、東京駅から徒歩5分ほどのところにあるので、いつでもいけると思っていたために、気になりながらも一度も訪れたことがありませんでした。この美術館は、自動車タイヤでは日本を代表する大企業「ブリヂストン」の創業者・石橋正二郎が1952年に建設した社屋の一角に、戦前からこつこつ収集してきた美術品を一堂に公開したのがはじまりです。[ちなみに、社名のブリヂストンというのは、石橋の英語読みで、ブリッジ(橋)とストーン(石)をいっしょにしたことは有名です]

当初から、フランス近代絵画や日本の近代洋画の秀作をそろえた美術館として知られていましたが、この本でセザンヌ「自画像」「サント・ビクトワール山とシャトー・ノワール」、マネ「自画像」、モネ「ベニスの黄昏」「睡蓮」、ピカソ「腕を組んですわる軽業師」、コロー「森の中の若い女」といった、著名な画家たちの代表作を収集していることがわかり、翌日の午後に出かけてみました。

率直な感想は 「これはスゴイ! よくぞここまで集めたものだ」 というものです。そして、1982年以降に購入したのでしょう。ルノアールの 「坐るジョルジェット・シャンパンティエ嬢」 が燦然と輝いています。(この少女は、ニューヨークのメトロポリタン美術館にある「シャルパンティエ夫人と子どもたち」というルノアールの代表作の中で、大きな犬に座っている少女と同一人物、父親はモーパッサンやゾラなどの小説を刊行する出版社のオーナーであることもわかりました)。さらに、マリー・ローランサンの「二人の少女」など、今も少しずつ名画の収集を続けているのがわかります。

入場料は大人700円、65歳以上のシニアは600円。日本では、著名な絵を集めた特別展が頻繁に行なわれ、報道や宣伝もしっかり行なわれるためか、人が多すぎて鑑賞どころではないことを何度も体験したり、話に聞いています。でも、こんなにもたくさんの名画中の名画を集め、ゆっくりと鑑賞できる常設展が身近にあるのです。「灯台もと暗し」、世界の著名な美術館と比べても遜色のない美術館との出会いに、心豊かになった感じがしました。

投稿日:2008年01月24日(木) 10:44

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)