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「ル・コルビュジエ」 を知ってますか

もう、7、8年も前のことです。いずみ書房の応接室のソファが、あまりにも長く使いすぎたため、革がヒビ割れし、中からアンコが出てきてしまいました。お客さんを迎える大事なソファなので、すぐに新しいものを見つけなくてはなりません。そこで、日本最大の家具展示場のある有明の「大塚家具」へ出かけました。急を要するため、私の直感を頼りに、即決する覚悟でした。

日本最大というだけあって、品揃えはさすがです。尾花さんという中年の女性担当者がついて案内してくれます。まず、数十点もあるソファをざっと見て周り、気になった数点にしぼりこみ、そして最終的に、黒革の品格あるソファーセットを購入しました。商品はまもなく会社に届いて、みんなからの評判もよく、満足しておりました。

1か月後、当日の担当者だった尾花さんから、次のような手紙をもらいました。
「この度は、お買い上げいただきまして誠にありがとうございました。
オフィスに置かれていかがでしたでしょうか。
お買い上げいただきましたソファーとアームチェアは、有名な芸術家であり、建築家でもあるル・コルビュジエのデザインによるものです。コルビュジエは、1887年スイスに生まれました。芸術家、建築家としてパリで活躍し、「家は住むための機械である」と主張したことはよく知られています。無駄をはぶいた機能的で幾何学的な建築を追求し、住宅に置かれる家具についても、建築空間を構成する重要な要素と考えました。
お買い上げの商品は、1928年にデザインされたもので、「グラン・コンフォール」(大いなる快適)という名前がついております。単純な構成で、最大の快適を形づくるル・コルビュジエの狙いがうかがえます。
まさに、オフィスびったりのデザインと機能だと確信しております。末永くご愛用いただければ幸いです。
また、何か探されるものがありましたら、ご来館くださいませ。お待ちしております。」

この手紙をもらって、大塚家具という会社の社員教育はさすがだなと感銘し、当社の営業マンも、こういう心構えであってほしいと、研修に使わせてもらってきました。数年たった今も私の手元にあります。

ところで、つい先日の新聞記事やテレビ報道をみてビックリしました。
「ル・コルビュジエの建築を世界遺産に推薦」という見出しがつき、日本では「国立西洋美術館」が唯一のコルビュジエ作品なのだそうで、フランス政府から文化庁や同館に話が持ちこまれたというものです。文化庁によると、仏政府はフランス、スイス、ドイツ、ベルギー、アルゼンチン、インド、日本の7か国計23件の作品について「ル・コルビュジエの都市建築作品」として世界遺産登録を目指している、7か国連盟でユネスコに推薦したい意向……、というものです。

そんな世界的に有名な人のデザインしたものだったとは、私の鑑識眼もまんざらではないとニンマリするとともに、誰もほめてくれないので、自分をほめてあげました。

なお、一昨日(18日)の読売新聞夕刊には、皇后さまが六本木の森美術館で開かれている「ル・コルビュジエ展 建築とアート、その創造の軌跡」を鑑賞されたと、カラー写真入りで紹介されています。

投稿日:2007年09月20日(木) 09:47

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)