こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 46
ある日のことです。小学校で、何かの行事でもあったのでしょう。母と子が連れだって、校門をでてきました。母親の手を肩に受けて、子どもは、とっても楽しそうです。
ところが、そのうしろを歩いていると、母親が子どもに語りかけているこんな言葉がきこえてきました。
「あなたが、いちばんよかったわよ。着ている服もいちばんかわいかったし、声も、いちばんきれいだったわ。教室のうしろに貼ってある習字を見たけど、あれも、あなたのがいちばんだったわ」
母親の 「いちばん」 「いちばん」 という言葉が、ひっかかってしまいました。
母親は、いっしょうけんめい、わが子をほめているのでしょうが、なんでも 「いちばん」 「いちばん」 と言うのは、どんなものでしょう。
これは子どもに、知らず知らずのうちに、おかしな自尊心をうえつけることになってしまうのではないでしょうか。以前、子どもに着飾らせた七五三のとき 「ほら、あなたが、いちばんきれいよ、よかったね」 と、わが子に語りかける母親の言葉を聞いたことがありましたが、これも同じです。
こんなとき 「みんな、きれいな着物を着て、とってもうれしそうね。○○ちゃんも、とてもきれいよ」 と語りかけてはどうでしょう。
教室に貼ってあった習字をほめるときも 「お友だち、みんなじょうずね。あなたのも、とってもよく書けてたわよ。特に◇◇の字は力強くて、よかったわよ」 などと言ってみてはどうでしょう。「いちばん」 とだけ言われるのとはちがった受け止め方をするでしょう。
子どもに語りかける言葉には、子どもの心をあたたかくさせる「思いやり」を忘れないように心がけたいものです。