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子どもの言い分に創造的にこたえる

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 44

「私が小学生のときのことです。家に自分の勉強部屋を持っている子がうらやましくて、母に、私も自分の勉強部屋が欲しいとねだったことがありました。家族全体で6畳ひと間のくらしをしているのに、そんなものを望めるはずもありません。ところが、母は〈そうかい、わかったよ〉と答え、つぎの日、私が学校からもどってくると 〈はい、ここが、おまえの勉強部屋だよ〉と言ってくれました。
押し入れの半分を片付けて、そこに小さな机と小さな電気スタンドを持ちこみ、ふすまに『マリコのへや』 と書いた紙を貼ってくれたのです。私はうれしくて、ずっと、そこで勉強するようになりました。
クリスマスツリーをねだったときは、たんすのひきだしを上から順に少しずつ大きく開け、そこにひもを引っぱって紙を細く切ったものを飾りつけてくれました。ぴかぴかする電気がないといやだとすねると、そのときだけは、ぴかぴか光っていると心のなかで思えばいいじゃないか、なんでも人と同じように欲しがるものでないと、しかられました」

これは、ある女優さんが語っていた母の思い出です。
この女優のお母さんは、子どもがむりなことをねだっても、けっして 「ばかなことを言うものではない」 などと叱ることはなく、この勉強部屋とクリスマスツリーのように、いつもやさしく夢をかなえてくれたというのです。
お金の力で解決してやるのではなく、また、お金がないから解決してやらないのでもなく、子どもの望みや言い分にはあたたかく耳をかたむけ、母親のぬくもりをもって創造的にこたえてやる。これは、至上のしつけです。しつけの基本は、子どもをおさえつけることにあるのではなく、子どもをのばすことにあるのですから。

投稿日:2007年07月26日(木) 11:17

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)