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母親のあせりを子に押しつけない

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 43

バスの中で目にした光景です。
つぎの停留所で降りるのを、ついうっかりしていたのでしょう。停留所を目前にして、3、4歳くらいの子どもをつれた母親が、荷物を片手にあわてだしました。
くつをぬいで座席にあがり窓にしがみついていた子に 「さあ、降りるのよ。早く、くつをはきなさい」。
子どもはあわててくつをはこうとするのですが、なかなかはけません。すると母親は 「なに、ぐずぐずしてるのよ」。子どもはいよいよはけません。「なに、やってるの」 「このくつ、小さいんだもん」 「ぐずぐずいわないで早くしなさい」。
やがてバスがとまりました。母親は 「ほんとに、しかたないわね」 と言いながら、くつをはきかけのままの子の手をとり、ひきずるようにしてバスを降りていきました。

発車したバスの中からふりかえると、その子はバス停に立ったまま、目に手をあてて泣きだしていました。
自分のあせりを子どもにおしつけた母親。子どもは母親といっしょにいる安心感もあってやすらかな気持でバスを楽しんでいたのでしょう。子どもにとって、こんなめいわくな話はありません。
ところが、実は、これに似たことが案外に多いのではないでしょうか。子どもの人格などというものは、どこかへ置き去りにして、力づくで子どもを従わせようとする。これは、しつけなどといえるものではありません。
「なにをぐずぐずしているの」 と子どもに口走ってしまうまえに、ちょっと間をおいて考えてみることを心がけたいものです。

投稿日:2007年07月23日(月) 09:26

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)