こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 40
子どもの自殺が相次いでいます。おとなたちは 「なぜ、あんなにかんたんに死んでしまうのだろう」 と考え、これに対して識者の多くは 「今の子どもたちは、いのちの尊さというものを知らないからだ。おとなたちが、物の豊かさに毒されて、子どもに、いのちの尊さを伝えることを忘れているから……」 と語っています。
けれども、幼いわが子に人間のいのちの尊さを伝えることは、なんでもないことのようで、実はかなりむずかしいものです。
しかし、たった一つだけ、どんな母親にもできることがあります。それは、わが子に 「あなたが生れるとき」 「あなたを産んだとき」 を語って聞かせることです。
あなたを身ごもったとき、どんなにうれしかったことか。お父さんも、どんなによろこんだことか。あなたが生れてくるのを、みんながどれほど待ちわび、生れてきたときは、どんなに感激したことか。
そして、少しずつ大きくなっていくときは、抱いたり、頬ずりしたりして、どんなにかわいがったことか。熱を出したときなどは、どんなに心配したことか。でも、どんなにたいへんでも、あなたが大きくなっていくのは、どんなにすばらしく、楽しいことであったか。
こんなことを、たとえば、春は日だまりで、夏は木かけで、秋は落葉の上で、お母さんの宝物を見せるようにして、語り聞かせることです。写真のアルバムや、ビデオを見せるのもよいでしょう。
自分が、いかに祝福されて生を受けたか。これまでみんなからどんなに慈しまれてきたか。これは、そのまま、自分のかけがえのなのない命を思う心へ広がっていくでしょう。口先だけでいのちの尊さを説くより、どれほど子どもの心にしみ入るかしれません。