こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 37
小学校の2、3年生にもなると、かなりの割合の子どもが、失敗したことや叱られそうなことは、親に報告しないようになります。また、かりに報告しても、適当にうそをついて自分を守るようになります。たとえば、悪い点数のテストはかくして、よい点数のものだけを親に見せるというのが、その典型的な例です。
さて、わが子の、このような行ないを発見した親の多くは 「なぜ、こんなことをするの。叱ったりしないから、かくし事をしてはだめよ」 と、いましめます。ところが実は、それまで叱ってきたからこそ、子どもはかくし事をするようになったのです。
どんな子どもだって失敗します。たいていの子どもが、ときにはテストで悪い点数をとります。元気な男の子なら、ときには遊びすぎて、家へもどるのがおそくなってしまいます。
しかしこんなとき、けっして頭ごなしに叱らないこと。悪い結果だからといって、ただそれだけで叱るのではなく、まず、子どもの言い分に十分に耳をかたむけて、なぜそうなったのかを、子どもといっしょに考えてやるようにすることです。つまり、叱るまえに理解してやることです。そしてその次に、どんなにささいなことでも、本当のことを打ち明けたときは、ほめるようにしていくことです。
子どものどんな失敗にも、言葉を荒らげずに、やさしく耳をかたむけてやることは、なかなかできることではありません。けれども、少なくとも、子どもの失敗を知って開口一番 「どうしてそんなことを」 と問いつめるのをやめるだけでも、まず効果があります。
とにかく、わが子がかくしだてをするのは、子どもが悪いのではなく、親の対応のしかたがへたなのだということを、肝に銘じておくことです。