ヨーロッパへでかけたり歴史や文化にふれたりしていくと、英語以外に、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語の5ヶ国語に出会う機会が多くなります。先月はドイツにでかけて印象に残ったのが、世界的に有名な城でディズニー映画「白雪姫」の城のモデルともなった「ノイシュバンシュタイン」。はじめは何とも覚えにくい名前だと思いましたが、英語読みではノイが New、シュバンが Swan、シュタインが Castle、つまり「新白鳥城」という意味なのだそうです。それがわかれば、舌をかみそうな名もすぐ覚えられそうです。
以前、イタリアのフィレンツェ(英語読みフローレンス)へ行き、ウフィツ美術館を訪ねたときに知ったことですが、このウフィツは、英語の「オフィス」(事務所)です。昔、司法・行政の執務室だったことからこの名前になったそうですが、「オフィス美術館」では平凡すぎて有り難味がなくなってしまいそうですね。
8世紀のフランク王国で戴冠したカール大帝(ドイツ語読み)は、フランスではシャルルマーニュ、英語ではチャールズ大帝、スペイン語ではカルロス大帝です。名前でいえば、英語のジョンは、ヨハン(独)、ジャン(仏)、ジョバンニ(伊)、ファン(西)、ロシア語となると「イワン」だそうですから驚きです。トルストイの名作「イワンの馬鹿」は、英語圏では「ジョンの馬鹿」というのでしょうか。そのうちヘンリーおじさん(イタリア語でエンリコおじさん)にきいてみることにしましょう。
ついでに、よく出会う名前のそれぞれの読みを掲げてみましょう。アイザック(英)……イザク(仏)、イサク(西)/ウイリアム(英)……ウイルヘルム(独) ギョーム(仏)/エリザベス(英)……エリザベト(独) イサベル(西)/キャサリン(英)……カトリーヌ(仏) カタリーナ(独)/ジョーゼフ(英)……ジョセフ(仏) ヨーゼフ(独)/ポール(英)……パウル(独) パオロ(伊) パブロ(西)/マーガレット(英)……マルグリート(仏) マルガレーテ(独) マルガリータ(西)/メアリー(英)……マリー(仏) マリア(独)
ヨーロッパの歴史や文化などの研究を志す人は、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、できればロシア語、さらにそれぞれの言葉の基礎となったラテン語の基本的な発音のしかたを学べ、といわれるのはこのためなのでしょう。