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子どもに効き目のない言葉 「どうして……?」

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」35

お母さんが子どもにぶつける言葉のなかで、[わかっちゃいるけどやめられない] 言葉の代表は 「どうして?」 です。
どうしてそんなことをするの? どうしてわからないの? どうしていうことをきいてくれないの? どうして勉強しないの? どうしていたずらばかりするの? どうしてそんなにのろまなの? あげたら、きりがないほどです。
しかし、考えてみると、これはちょっとおかしな言葉です。子どもは 「どうして?」 と言われても、たいていの場合、それは悪いと承知してやったのではなく、自分の思ったとおりにやったにすぎないのですから。
いたずらをして、親から 「どうして?」 と問いつめられても、子どもは困ってしまいます。子どもは、おもしろそうだから、それをしたにすぎないのですから。

この 「どうして?」 を、何千回くり返しても、効き目はありません。それは、この言葉が、みちびきではなく、あくまでも問いつめにすぎないからです。問いつめは、子どもを無口にすることはあっても、心を解放させることはありません。
「どうして?」 と言いたくなったら、それをぐっとのみこんで、たとえば 「○○ちゃんは、ほんとにいたずらっ子ね。あんなことするの、そんなに、おもしろい? どんなところがおもしろいかなあ」 「あら、けんかしたの、どんなことで、けんかになったの?」 などと語りかけることです。そうすれば、子どもは必ず心をひらいて、自分の思いや事のいきさつを、すなおに話してくれます。親は、そのあとで再び語りかけるようにして、子ども自身に正しいことを判断させながら、みちびいてやりたいものです。

投稿日:2007年06月04日(月) 08:38

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)