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だれにでもある「がん細胞」

2年半ほど前になくなった私の妻の死因は、2000年の定期健康診断の際に見つかった肺がんでした。あまりに急で予期しないことだったために、書店へ行っては「がん」とタイトルに名のあるものは片っ端から買いこんで読みあさったことを思い出します。


その結果わかったことは、人間には60兆個以上もの細胞があるそうで、1個の細胞を1人としてみると、全世界の人口60億人の1000倍、地球1000個分に匹敵するとてつもない数の細胞が、一人の人間の身体の中に存在するという事実です。その身体の中で、いろいろな役割をする細胞が仲良く暮らしているのでしょうが、ある時、ある細胞が突然すさまじい勢いで増え続けて暴走するのが、がん細胞なのだそうです。正常ではその増殖をおさえる細胞もいて、バランスが保たれます。細胞に限らず、およそ地球上の生物は一定空間の中に、もっとも適切な数で存在する自然法則のようなものがあります。北欧に住むある種のねずみが、町をおおいつくすほど増え続けた末、川に飛びこみ自滅してバランスを保つというようなことも一例なのでしょう。
悪いやつがたくさんいても、警察がしっかり機能していれば大事に至りません。ある医師が、がんをオウム事件になぞらえ「どんなにオウムが増えても機動隊の力がそれにまさっていれば抑えられます。でも、オウムの暴走が押さえられないようになってしまったときが、がんに屈服したときです」といっていたのが印象的でした。その警察の役割をするのが、自然治癒力とか免疫力で、いわば「がんをやっつける」というより、「がんと共存する」というのが正しい理解のようです。

がんに関するもうひとつの情報。いま存在する「抗がん剤」は、がんそのものをやっつけるというのはほとんどなく、急速に増殖している細胞をやっつけろという指令に基づいて行動させる薬だと思って間違いありません。そのため、残念ながら分裂の早い、血液をこしらえる細胞である骨髄、胃や腸など消化器官の粘膜、毛根細胞など、正常細胞にいっそう働いてしまうのです。抗がん剤を使うことにより、食欲がなくなり、髪の毛が抜け、白血球の減少といった副作用にみまわれるのはそのためです。がんをたたく治療を優先して、体力を弱らせてしまったら、何のための治療かわからなくなります。
仕事人間だった私の妻は、敢然と抗がん剤治療を拒否し、亡くなる1か月ほど前まで、ホスピスのベッドの上で会社の仕事をしていました。それができたのも、抗がん剤にたよらなかったからなのかもしれません。

投稿日:2007年06月01日(金) 10:01

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)