こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」33
● 幼児の要求の先取りをしない
幼児が、むずかりながら何かを要求しようとするとき、あるいは、不充分な片言を発しながら、からだで何かを表現しようとするとき、それを先取りして 「そう、あれがほしいの」 「これが、いやなの」 などと言いながら、その幼児の要求を満たしてやる親が少なくありません。また、孫のしたいことなら、なんでもわかるといわんばかりに手を貸して、満足する祖父母が少なくありません。
しかし、これはどれも、まちがっています。それも、ただ、まちがっているというにとどまらず、子どものことばの活動を、どんどんおくらせてしまうことになってしまっています。幼児が、むずかりながら要求すること、片言を発しながら要求することは、たしかに、両親や祖父母には、ほとんど理解できます。しかし、だからといって、けっして、幼児の要求を先取りしてしまってはいけません。
片言は片言なりに、さいごまで言わせることです。もし、さいごまで全部言えないのであれば、手を貸すまえに、少なくとも 「○○がほしいの?」 「○○がしたいの?」 などと、はっきりした言葉で語りかけ、その子が 「うん」 でもいいから、うなずくのを待って、幼児の要求を満たしてやることです。
幼児が要求したことと、両親や祖父母が先取りしたことに、くいちがいのあることも知っておかなければいけません。とにかく、幼児が片言でなにかを要求するときは、さいごまで、ゆっくり、その片言に耳をかたむけてやること、要求を先取りすれば、発達していく幼児の言葉を、封じこめてしまうことになってしまうのです。