こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 28
● 集団にとけこむ努力をする
集団にとけこめない子がいます。引っこみ思案の子がいます。親からみると、困ったなと思いながらも、かわいそうでなりません。仲間からひとり離れているわが子を見ると、飛んでいって抱きしめてやりたいほど、かわいそうになってしまいます。
それが高じると、「みんなと遊ぶのはおよしなさい」 「あなたのすきな○○ちゃんと遊んだら。○○ちゃん、おうちに呼んでもいいのよ」 「おうちにいなさい。お母さんが遊んであげますからね」 「このまえ、いいものを買ってあげたでしょ、外へ行かないで、あれで遊んだら」 などと、わが子をひたすらに守ってやることになります。子どもが自分の力で生きていくためには何が必要かについて、よく考えてみてください。今日の子どものかわいさだけをたいせつにし、積極的に集団のなかへ送りこむことをさけてしまっては、将来の子どものためになりません。
子どもは、多くの仲間とふれあうことによって、自分以外の人間のことを知り、その自分以外の人間を鏡にして、自分の性格を反省したり、自分を律する心を学んだりするものです。グループで遊ぶことをさせないでおけば、それらの機会を失ったまま成長してしまいます。いつも閉鎖的な環境のなかに身をおいていると、のびのびしたところのない、しかも自己中心的な人間へとかたまっていってしまいます。また、いつも親の羽の下ですごすうちに、いつまでも親ばなれのしないひよわな子になってしまいます。どこか、心にかげのある子になってしまわないうちに、心を鬼にして、わが子をつきはなすことがたいせつなのです。