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失敗をおそれない強い心

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」23

● 失敗はとがめず暖かくはげます

ある小学校での父母参観日のこと。3年生のクラスで、教師が子どもたちに問題を出して手をあげたA少年に答をいわせた。しかし、答はまちがっていた。そこで、ほかの子どもたちに答をいわせて、正解へみちびいた。A少年は、参観に来ている親の目を気にして下をむいた。ところが、このとき、教師がすばらしいことを言った。

「A君の答はまちがっていましたね。でも、A君がまちがった答をいってくれたおかげで、みんなが、もういちど考えなおしたり、ちがった答をいってくれたりしたので、ほんとうの答がみつかったんだ。A君ありがとう」。これを聞いたA君は、ぱっと顔をあげて、いっぺんに明かるい表情になった。そして、参観に来ていた父母みんなが、この教師のすばらしさをたたえあった。

この教師は、40代半ばの男の教師でしたが、まちがった答をいってしまった子どもへの暖かい思いやり、ほんとうにすばらしいではありませんか。
多くの親は、この教師のような思いやりの心を忘れているのではないでしょうか。失敗は失敗として、とがめてしまいます。もしも同じ失敗をくり返そうものなら、つい 「どうして同じことをまちがえるの」 などと大きな声をだしてしまいます。失敗した子どもの心は、親から叱られるまでもなく沈んでいます。だったら、その心の沈みに追いうちをかけるのではなく、失敗をのりこえる力を与えることこそ、たいせつでしょう。
失敗して沈んでいる心を救いはげましてやりながら、失敗をおそれない心をつちかわせていく──これこそ、叱ることにまさる教育だと思うのです。

投稿日:2007年03月01日(木) 09:55

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)