こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 25
● 家族のあいだで思いやりの心を育てる
いまの子どもたちの多くにもっとも欠けているものは、他人への思いやり、自分のまわりへの思いやりだといわれています。それは、子どもの功利的な競争心をあおる受験体制や、子どもに人間の心のたいせつさを忘れさせる物質主義の社会などに問題があるのでしょう。そんな状況のなかでも、思いやりの心を育てるには、まず、家庭のなかで、家族のなかで、それを育ててやることです。
たとえば、まず、親自身がそれを見せること、実践することにあわせて、子どもに、まわりのこと、家族全体のことについて考えるよう意図的にさせていくことです。父親、母親の仕事のたいへんさを、ごくしぜんに話して聞かせて、両親のことを、子どもなりに思いやるようにさせる。兄弟がいれば、ひとり一人のことを話して聞かせ、やはり思いやるようにさせる。
またテレビのチャンネルのことにしても、どうしたら家族みんなが楽しくテレビを見ることができるかを、子どもにもしんけんに考えさせる。家のなかでの仕事の分担のことや、休日の家族みんなの楽しいすごし方や、みんながよろこぶ料理のことなどについても、誠実に意見を求めて、つねに、自分本位ではなく、全体のなかで物事を考えるようにさせていく。
つまり、これを裏側からいえば、いつもいつも子どものいうなりにならないこと、そして、親の命令どおりに子どもを動かそうとしないこと。たとえ小さな子どもに対してでも、可能なかぎり、親の考えをあたたかく伝えて、そのうえで、子どもの考えにも耳をかたむけること。ひと口でいえば、[子ども主体性を尊重する]ことが、たいせつではないでしょうか。