こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」19
● 将来の夢をしっかり持たせる
むかしの親、とくに父親は、わが子によく 「おまえは大きくなったら、何になるんだ」 と、しんけんに問いました。そして、子どもが 「○○になる」 と言えば 「そうか○○になるか。それじゃ、○○のなかでも、いちばんえらい人になるようにがんばれ」 と励ましました。また、ときには、わが子に 「人はなあ」 「人生とはなあ」 「人間とはなあ」 などと語りかけました。
ところが、いまは、それがあまりにも少なくなっています。親が口にするのは 「おまえは、どこの高校へ行くんだ」 「どこの大学へ行くんだ」 ばかり。だから、親も子どもも、目先のテストの結果ばかりを気にするようになり、子どもは、いざ大学を卒業するころになって 「おれは、いったい何になればいいんだ。まあいいや、どこか、安全な会社へ入れさえすりゃ」 ということになってしまいます。
これでは、子どもを、なんのためにしつけてきたことになるのでしょうか。子どものしつけには、目先のことではなく、もっと大きくて深いしつけ、つまり 「大きな心を育てる、心のしつけ」 こそが、たいせつでしょう。しつけのなかで重視される、子どもの自主性も自立心も、子どもに大きな夢と希望を与え、それに向かって進ませることによって、しぜんに表われてくるものです。そういう大きなものを与えないから、子どもは目先のことだけにとらわれ、親のしつけも、こまごましたものばかりになってしまいます。子どもには、もっと、ほんとうの大きな荷物をかつがせることが、たいせつなのだと思います。