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人を思いやる心

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」20

● 親のほうから積極的に話を聞くように心がける

小学6年生の男の子5人が自転車で遊びに行っての帰り、1人が、自動車と接触して横転した。ところが、4人の仲間はこれを目撃していながら、かけよろうともせず先に帰ってしまった。そして、つぎの日学校で顔をあわせると、仲間の1人が、きのう横転した子に 「なんだ、おまえ生きてたのか」 と言った。──これは、じっさいにあった話ですが、なにか、ぞっとさせられます。

それにしても、どうしてこんなことが……。その要因のひとつに家庭における親と子の会話のありかたが指摘されます。勉強したの? 勉強しなさい。だめじゃないの。わかったよ。いまの多くの家庭では、こんなやりとりが主役で、心をかよいあわせた会話は、ほとんどありません。問題はこれです。

子どもが、学校でのことを語ろうとしないなら、親のほうから、積極的に話をひきだすように、話を聞いてやるように心がける。そして 「あなたはそのとき、どう思った?」 「どうしてあげたらいいと思う?」 「その子は、どんな気持だったのかしら」 「みんなは、どんなことを考えたのかしら」──わが子にこんな問いかけができる状況をつくりだしていくことです。また、ふだんから、わが子に 「お母さん困ってるの。お願いだから、ちょっと助けてちょうだい」 「きょうは助けてくれて、ほんとうにありがとう」 「きょうは、たすかったわ」 などと、ことばで感謝の気持をはっきり伝えることを、日常的につづけるように心がけることです。子どもは、こんな問いかけや感謝のことばをとおして、人を思いやる心、人のためになにかをするよろこびを、しぜんに育てていってくれます。

投稿日:2007年02月09日(金) 09:16

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)