これまで15回にわたり、だれにもできる逆説的しつけ法「ダメな子の育てかた(●印))」と、努力を伴う期待型しつけ法「良い子の育てかた(○印)」を併記して連載してきましたが、どうも「ダメな子の育てかた」に違和感をおぼえる方が多くおられるようです。そこで、本日から、こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」についての私見を綴ることにします。
● 親は、話をしている子どもの代弁をしない
「この子は、人まえにでると、だまりんこになってしまう。家では、よく、おしゃべりするのに、内気なのかしら」──こういって、なげかれる、お母さんが少なくありません。
ところが、こんな子どもの場合、そのほとんどは、内気などという性格からくるものではありません。多くは、子どもをとりまく状況が原因になっています。
たとえば、家庭のふんいきの明るさ暗さ、家族の会話の多さ少なさなどが、すくなからず影響しますが、原因としていちばん大きいのは、子どもが人まえで話をしようとしたとき、親が代弁してしまうことがよくあるからです。
子どもが、人まえで人に何かを聞かれて話をはじめます。ところが、まだ十分なことがいえません。お母さんからみれば、おかしなことばかりです。すると、これを見たお母さんは、子どもがいいかけたのをとりあげて、すっかり代弁してしまいますから、子どもは、横でだんまり──これが、よくないのです。
これでは、人から何かを聞かれたとき、何とかしてきちんと答えようとする訓練の場がその子には得られません。だから、いつまでたっても、人まえで、しっかりと話す力がつきません。つまり、なれないから、人まえで話ができないのです。
小さな子どもが、おかしな話しかできないのは、あたりまえです。その子になにかを問いかけたおとなも、子どもばなれした答えなど期待していません。したがって、たとえ、話がトンチンカンであろうと、子どもに、おしまいまで話をさせることです。子どもに自信がつけば、人まえでも、気おくれせず話ができるようになります。