こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 3
● 内容豊かな語りかけを心がける
子どもは、いっしょに道を歩いていると目に入ったいろいろなものを指して 「あれ、なぁに」 「あれ○○だね」 などといいます。また、虫を見つけると、しゃがみこんでしまいます。
さて、このとき、多くの親は 「あれは○○よ」 「そう、あれは○○だね」 と答えてやるだけで、口をつぐんでしまいます。どうかすると、答えてもやらないで 「よそ見するんじゃないの」 「ぐずぐずするんじゃないの」 と、声を荒げてしかる親もいます。こんな親の態度は、子どもにとって、なんと不幸なことでしょう。
たとえば、子どもが、野の枯れたすすきを見て 「あれは、すすきだよね」 といったとします。このとき、親が 「そう、すすきよ」 とだけ答えて口をとじれば、子どもは、たんに 「やっぱり、すすきである」 ことを確認したにとどまります。しかし、もし 「そう、すすきよ。枯れてしまって、かわいそうね。風に吹かれて、あんなにふるえて、さむそうだね」 と、語りかけてやったらどうでしょう。子どもは、すすきを 「生きているもの」 「生きていたもの」 としてとらえなおし、さらに、ものをあわれむ 「やさしい心」 を、しぜんに育むのではないでしょうか。
道にはっている虫を見つけて子どもが立ちどまったら、ほんの30秒でいいから、子どもにつきあってやって 「どこに行くのかしら。お友だちのところかな。お使いかな。まさか、おうちへ帰る道が、わからなくなったんじゃないでしょうねえ」 などと語ってやったらどうでしょう。子どもは、虫の心を、そっと考えてくれるのではないでしょうか。親の、ちょっとした心づかいが、子どもの心を豊かにするものです。