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耐える心をそなえた子どもに

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 4

● 子どもの意思や主体性を尊重すること

「小学生になる前後」 (岡本夏木著・岩波書店刊) のなかに、5、6歳に対するしつけについての、すばらしい例がおさめられています。
ある家が遠くへ引っこしするとき、家で飼っていたイヌをどうするかが問題になりました。5歳になる男の子は、イヌもつれていくといいます。イヌと別れるくらいなら、ぼくはここに残ってひとりでくらすといいはります。でも、引っこし先は団地のアパートですから、イヌをつれていくことは、どうしてもできません。
さて、このとき、お母さんは、イヌをもらってくれる家へ、男の子にイヌを抱かせてつれていき、イヌを、男の子自身の手でむこうの人に手渡させました。もちろん、男の子は泣きどおしでした──というのです。
こんなとき、多くの親は、泣きわめく子どもからイヌをもぎとったり、子どものいないときに、こっそりイヌを他家へ渡してしまったりするのでしょうが、このお母さんは、子ども自身に、イヌに別れをつけさせたのです。
著者が、この例をあげたのは、「しつけにさいしては、親への服従をただ強いるのではなく、ひとりの人間としての子ども自身の誇りと自身を尊重してやる愛情こそ欠かせないものだ。強制的に、ひとつの行動を子どもに迫らねばならないときも、最後の一線では、子どもの最小限の意思とか主体性とかを尊重してやることがたいせつ」 という考えにもとづくものですが、ここには、しつけの基本が、きびしく語られています。
してはいけないこと・しなければいけないこと・たえなければいけないこと──などを、子ども自身に主体的に理解させていくことのたいせつさを、忘れてはならないようです。

投稿日:2007年01月18日(木) 09:12

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)