こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 7
● 子どもの考えや意見を尊重する
放任主義という言葉があります。そして、一般的には、親が育児や子どもの教育に熱心でないことに、また、子どもにまったく手出し口出ししないことに使われます。でも、こんな解釈は、まちがいです。手出し口出ししない、まるで野放し状態には、主義などというものはありません。たんなるほったらかしです。
ほんとうの放任主義というのは、各自の自由にまかせて干渉しない方針ではあっても、けっしてほったらかしではないのです。親みずからが、わが子への過干渉、過保護をいましめ、子どもを信頼して、子ども自身の判断と行動をたいせつにしてやりながら子どもを見守るのが、いつわりのない放任主義です。つまり、放任主義は、子どもの考えや意見を尊重するのが基本ですから、親が信頼してやれるような「子どもの考え」が存在しなければなりません。そういう子どもの存在するところに、はじめて放任主義が成立するのです。
したがって、非行少年のいる家をさして、単純に「あの家は放任主義だから」というのはまちがいなのです。もし子ども野放しの家庭なら「あの家の親は、子どもをまるで、ほったらかしだから」というべきでしょう。
「主義」とは「つねに守る考えや方針」のことです。だから、ほんとうの放任主義は、たいへんむずかしいことです。まやかしでない放任主義は、ぜひ実践したいものです。成功すれば、子どもは必ず主体的に生きる人間になってくれます。とにかく良い子に育てるには、放任主義をはきちがえないことがたいせつでしょう。