こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 11
● 謙譲の美徳など発揮しないこと
子どもといっしょに、食事にさそわれることがあります。このとき、先方から 「さあ、なにを召しあがりますか」 「なにが、おすきですか」 と問いかけられたとき、親がはっきり言うのははしたないことと思っているのか 「なんでもけっこうです」 と返事して、子どもにも 「なんでも、いいです」 と言わせる親がいます。「はい、とってもおいしそうですから○○をいただきます」 「わたしは、だいすきな○○をいただきます」 と、どうしてはっきり言わせないのでしょう。
親子同席の場で、人がわが子に 「あなたは、なにがとくいですか」 と問いかけてきたようなときも同じです。まず親が謙譲の美徳を発揮して 「いいえ、この子には、人さまに自慢できるような得意なものは、なにもございません」 と代弁したり、子どもにも 「ぼくは、なにをやってもダメなんです。得意なものなんか、なにもありません」 と言わせるのを見ると、何かかわいそうにさえ思ってしまいます。
こういうことを重ねていると、子どもは、親といっしょのときは何でも親にまかせるようになってしまううえ、すべてのことにおいて、自分の意思をはっきり相手に言わない子になってしまいます。人間は生きていくうえでいつも「自分で決める」ことが求められます。子どものうちから、はっきり意思を伝えられる訓練をしておきたいものです。