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多様な思考をする子に

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 12

● 行いの習慣化にとらわれない

親は、一般に、子どもになにかをやらせるとき、いちど決めたことを、どこまでも守らせようとします。しつけには習慣がたいせつですから、いちど決めたことを守らせるのは、よいことです。
しかし 「決めたことを守らせる」 という考えにとらわれすぎるあまりに、多くの場合、忘れられていることがあります。それは、行動の習慣化にあわせて、子どもの自由な思考を育ててやることへの配慮です。
たとえば、自分の部屋は自分で片づけることにした場合、多くの親は、はじめ親もいっしょになって片づけてみせて、その後はいつも子どもに、そのとおりに片づけることを求めます。そのとおりになっていないと、片づいていないと言います。
はたして、これが最善のしつけでしょうか。これでは、子どもの考えが、たいせつにされていません。子どもは、親の決めたことを機械的に守っているだけです。
子どもが、はじめ決めた片づけの形を守らなくなったら、むしろ 「片づけかたを、こんどは、あなたの思うとおりに変えてごらんなさい」 と言ってやったらどうでしょう。また、ときには、もっと積極的に 「部屋のもようを、思いっきり自由に変えてみたらどう?」 と言ってやったらどうでしょう。子どもは、片づけることひとつにも、自由な思考をはたらかせるはずです。
家事のてつだいも同じです。いつも同じ方法を守らせるのではなく、「もっと、ちゃんといく方法、もっと早い方法はないかしら」 などと意図的に語りかけてやって、新しい方法や形を子ども自身に見つけださせながら、やらせてみることです。子どもは、行ないの習慣だけでなくふだんの生活のなかで、自由に、幅ひろく考えていく習慣をも身につけていってくれます。

投稿日:2007年01月30日(火) 09:09

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)