とにかく、子どもは親の後姿を見ながら育ちます。親の対応の仕方で、子どもを「ダメにする」ことはじつに簡単です。ところが、「良い子に育てる」には、親は相当努力をしなくてはなりません。
そこで、今回からは、だれにもできる逆説的しつけ論「ダメな子の育てかた(●印))」と、努力を伴う期待型しつけ論「良い子の育てかた(○印)」を併記して綴ることにします。
以前、「月刊 日本読書クラブ」に連載していた「わが子をダメにしたいお母さんへ」「わが子をよい子にしたいお母さんへ」を基に、加筆、訂正しながら進めます。子育てはどうあるべきかを、いっしょに考えてまいりましょう。
● 心のひがんだ子にするには
学校のテストで悪い点数をとってくるたびに、何か失敗をしでかすたびに、「おまえは、ほんとうにダメな子だねぇ、先が思いやられるわ、まったく」と言ってやることです。子どもは期待通りにダメな子になってくれます。ぼくは生まれつきダメなんだ、わたしはやっぱりダメなんだわと思いこむようになり、頭をもたげることにあきらめてしまうからです。勉強がきらいな子になってくれるだけではありません。しだいに、仲間はずれにされ、心のひがんだ子どもにもなってくれます。
こんなことではなまぬるい、もっと早く子どもをダメにしたいときはこう言います。「そんなこともわからないの? 頭が悪いわね、少しバカじゃないの」 子どもはどんどん、ダメでバカになってくれます。
○ 何か買ってほしいとわめく子に
基本的には、子どもに取り合わない、きびしい態度が必要です。子どもがどんなに泣きわめいても、泣きやむまで待つのもよいでしょう。小さい子なら、グイとかかえて連れ去るのもよいでしょう。人前だからそんなことをしてはみっともないと思ってはいけません。泣きわめくのは、子どものひとつの知恵です。どんなに泣きわめいても、必要でないものは買ってもらえないことを、子どもに早くさとらせるべきです。「そのかわり、あれを買ってあげるね」「お家へ帰ったら、あれをしてあげるからね」といってなだめるのもよくありません。泣くことによって、子どもの要求を少しでも通させることになってしまいます。親の毅然とした態度を、こういう時こそ発揮しなくてはなりません。