「ダメな子」「良い子」の育てかた 5
● 人を差別することを教えたいのなら
わが子が、貧しい家庭の子や家庭的にめぐまれない子と親しくするのを見たら「あんな子と、おつきあいするのはやめなさい。お父さんは運転手なんでしょ。あなたは、あんな家の子と違うのよ」と言ってあげることです。わが子が体を真っ黒にして働く人たちの姿をテレビで見ていたら、「しっかり勉強しないと、あなたも、あの人たちのようになってしまうわよ。あの人たちは、人間らしい生活なんてしていないの。ああなったらおしまいね」と言いましょう。町を歩いていて、みすぼらしい住宅地を通ったら、「いやぁねぇ、なんてきたないんでしょ。こんなところへ来て遊んだりしたらダメ」と言います。子どもは、生活や身なりの貧しい人を、心のどこかで蔑視し、バカにする子になってくれます。
○ 要領を得ない話をする子や、話のノロマな子に
親に何かを話すとき、要領を得ない話し方をする子がいます。また、そんな時期があります。しかし、そんな時「あなたの言うことは、こういうことなんでしょ」と、先まわりして、子どもの言いたいことを整理してやってはいけません。たとえ、まだるっこくとも、子どもの話し終わることを、待ってやることが大事です。子どもはこんな時こそ、自分の表現能力を育てているのですから。
まだるっこいからといって、話をせかせるのもよくありません。子どもがつっかえながら話をしているときは、いっしょうけんめい言葉を探しているのです。いっしょうけんめい頭を働かせているのです。話を先どりしてせかしたりすることを繰り返していると、親には話をしたがらない子を育てることになってしまいます。そして、豊かな表現力の芽をつんでしまいます。よく、「ウチの子は作文がダメなのよ」と嘆く母親の声を聞くことがよくありますが、こんなふうに表現力の芽を摘んでいなかったかを反省しなくてはいけません。