1987年に刊行した英国レディバード社とのタイアップ企画第3弾、「レディバードブックス特選100点セット」のうち、主な作品の内容を紹介してみよう。今回は、牧師夫妻と3人の男の子、フリッツ、エルネスト、ジャック、末娘フランシスの一家6人が航海の途中で嵐にあい、無人島でくらす冒険物語。スイスのウィース(1743−1830)作、牧師の父親との合作といわれる。
● スイスのロビンソン一家 (あらすじ)
船が座礁したのは、無人島に近いところだった。船には6人の家族のほか、2匹の犬、羊と乳牛とヤギが数頭、メンドリが数羽、ブタが一匹、そして工具と、銃、大砲などがあった。6人は、たるを切っていかだを作り、動物たちや道具を島にひきあげた。森の奥の大木の上に小屋をつくり、そこで生活をはじめる。
家が出来ると、次は島の探検。歩いたり、いかだに乗ったり、島のおよその地形、動物や植物の種類を調べた。そして「タカの巣」「神の入り江」「サメ島」とかいろいろ名前をつけた。キャンドルベリーの実でろうそくを作ったり、難破船を爆破してたくわえを少しずつ増やしていった。ワシを捕まえて訓練したり、たくさんの子ブタをみつけて飼いならしたり、水牛をみつけて荷物を運ばせたり馬乗りするようにバッファロー乗りを楽しんだりもした。
やがて雨季がくると、よく乾いた安全な場所がほしくなり、岩山に穴をほって快適な洞窟もこしらえた。子どもたちはたくましく成長し、ダチョウをとらえたり、大蛇を退治したり、カヤックをこしらえて近くの島々を探検したり、パンサー、カバ、ゾウの群れに出くわしてもひるまないほどになっていった。
あっという間に10年がすぎていった。住まいも立派で便利になり、食料も豊富になり日常生活の上で不自由を感じることもなくなっていった。そんなある日、狩にでかけたフリッツは、つかまえたアホウドリの足に布切れが結びつけられていることに気がついた。「救援を乞う、スモーキング・ロックにいる難破船の乗員を」と書いてあった。まもなく、ジェニーというイギリス士官の娘を見つけた。嵐にあって遭難し、岩穴に3年間もひとりでくらしていたという。
ジェニーが一家に加わってすこしたったある日、フリッツが2台の大砲を手に入れ、大砲を打ったところ、砲声が7発かえってきた。そして、イギリスの旗を立てた船がやってきてフリッツをみつけた。
みんなは国へもどるかどうか話し合った。夫婦とジャック、エルネストはこの美しい島へ残ることを、フリッツとフランシスは、ジェニーとヨーロッパへもどることを決意したのだった。