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幸福の王子他 1

1987年に刊行した英国レディバード社とのタイアップ企画第3弾、「レディバードブックス特選100点セット」のうち、作品内容を紹介してみよう。今回は、アイルランドの作家オスカー・ワイルド(1856-1900)の「幸福の王子他」。ここには、タイトルの「幸福の王子」のほかに、「星の子」と「若い王様」が収録されている。どの本でもよいので、内容の一部を知りたいという声に応え、「幸福の王子」の全文(14ページ分)を4回に分けて紹介してみよう。


● 「幸福の王子」全文1


幸福王子1


昔あるところに、1人の王子がいました、その王子は、欲しいものは何でも手に入ったので、悲しむことも泣くこともありませんでした。それでこの王子は、「幸福の王子」とよばれていました。ああ、けれどもある日、王子は死んでしまったのです。国じゅうの人びとはたいへん悲しみ、王子のことを忘れないようにと像を作りました。像はなまりでできていましたが、王子にたいへんよく似ていました、ただ、目だけは青い宝石で作られ、服は金で作られていたのです。人びとはそれをみんなが見ることができるように、町のまん中の高い柱の上にのせました。


幸福王子2


さて、その国は冬がたいへん寒く、毎年秋になると、ツバメたちは、日が照っている暖かいところへ飛んでいくのでした。ところが今年は、1羽の小さなツバメだけ、他のツバメたちといっしょに飛んでいかなかったのです。そのツバメは、湖のまわりの、アシが生えているところに残っていました。アシは背が高く、美しく、ツバメはそのアシのうちの1本を好きになってしまったので、アシと離れて飛びたつことができませんでした。

投稿日:2006年02月06日(月) 16:02

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)