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柳にそよぐ風

1987年に刊行した英国レディバード社とのタイアップ企画第3弾、「レディバードブックス特選100点セット」のうち、主な作品の内容を紹介してみよう。今回は、英国の作家ロケネス・グレアム(1859-1932)の「柳にそよぐ風」。邦題では、「たのしい川辺」または「ヒキガエルの冒険」。

●「柳にそよぐ風」あらすじ

柳1ある春の暖かい日、地下の家の大掃除をやっていたモグラは、気持ちよさそうな地上に出て、川辺で散歩する水生ネズミと知り合い、いっしょに住むことになる。

柳2川辺には、御殿のような立派な家に住むヒキガエルがいた。ヒキガエルはほら吹きで、珍しがりで、あきっぽいお人よし。いつも何か新しいものを追いかけて、川辺の話題になっていた。モグラが知り合ったときは、ボートに夢中になっていたが、やがて自動車に変わっていった。

柳3ヒキガエルの自動車は、川辺の住民たちにとても迷惑な存在だった。何度も事故をおこし、病院にかつぎこまれたりした。たまりかねたアナグマとネズミとモグラは、厳しく説教をしたのに、ヒキガエルは自動車の運転をやめる約束をしない。そのため3人は寝室にとじこめてしまった。ところが、ヒキガエルは窓から逃げ出して、人の自動車を盗んで飛ぶように走り出した。そして、警官につかまり、危険な運転、自動車泥棒、警官への生意気な言動の罪で20年の禁固刑を言い渡された。

柳4ヒキガエルが後悔して泣いているのを見た看守の娘は、同情して逃がしてくれ、ヒキガエルは大冒険の末なんとか家へ帰ることができた。ところが、屋敷は留守中にテンやイタチたちに占領されていて、中に入ることが出来ない。

柳5がっかりして泣き出すヒキガエル。アナグマとネズミとモグラは、秘密の地下道があることを教え、みんなで戦うことにした。イタチの親分の誕生パーティの最中に不意をついて突入し、激戦の末に敵を追い出すことに成功した。

投稿日:2006年02月03日(金) 09:11

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)