1987年に刊行した英国レディバード社とのタイアップ企画第3弾、「レディバードブックス特選100点セット」のうち、主な作品の内容を紹介してみよう。今回は、英国の作家ロケネス・グレアム(1859-1932)の「柳にそよぐ風」。邦題では、「たのしい川辺」または「ヒキガエルの冒険」。
●「柳にそよぐ風」あらすじ
ある春の暖かい日、地下の家の大掃除をやっていたモグラは、気持ちよさそうな地上に出て、川辺で散歩する水生ネズミと知り合い、いっしょに住むことになる。
川辺には、御殿のような立派な家に住むヒキガエルがいた。ヒキガエルはほら吹きで、珍しがりで、あきっぽいお人よし。いつも何か新しいものを追いかけて、川辺の話題になっていた。モグラが知り合ったときは、ボートに夢中になっていたが、やがて自動車に変わっていった。
ヒキガエルの自動車は、川辺の住民たちにとても迷惑な存在だった。何度も事故をおこし、病院にかつぎこまれたりした。たまりかねたアナグマとネズミとモグラは、厳しく説教をしたのに、ヒキガエルは自動車の運転をやめる約束をしない。そのため3人は寝室にとじこめてしまった。ところが、ヒキガエルは窓から逃げ出して、人の自動車を盗んで飛ぶように走り出した。そして、警官につかまり、危険な運転、自動車泥棒、警官への生意気な言動の罪で20年の禁固刑を言い渡された。
ヒキガエルが後悔して泣いているのを見た看守の娘は、同情して逃がしてくれ、ヒキガエルは大冒険の末なんとか家へ帰ることができた。ところが、屋敷は留守中にテンやイタチたちに占領されていて、中に入ることが出来ない。
がっかりして泣き出すヒキガエル。アナグマとネズミとモグラは、秘密の地下道があることを教え、みんなで戦うことにした。イタチの親分の誕生パーティの最中に不意をついて突入し、激戦の末に敵を追い出すことに成功した。