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◇ 「レディバード図書館」の特色

いずみ書房が1985年に刊行した、6番目のシリーズ「レディバード図書館」の特色を掲げてみよう。

(1) 世界で最も読まれている絵本の日本語版

英国レディバード社は当時、首都ロンドンの北西150kmにあるラフボロウという小都市にあった。出版社でありながら、6000坪ほどの敷地内に印刷工場、製本工場を持ち、すべて自社で一貫生産する体制を敷いていた。1日の生産可能冊数は20万冊以上、年間4000万冊を製造し、世界最大の児童出版社といわれていた。出版物のほとんどが「レディバード・ブックス」という12×18cmのコンパクト判の上製本で、当時、幼児・児童向けに600点ほどを刊行していた。

「レディバード・ブックス」シリーズのうち当社では、特に就学前の子ども向けのジャンルにしぼり、「生活絵本」3点、「知識の絵本」6点、「文字遊びの絵本」6点、「言葉の数を増やす本」5点、「やさしい昔ばなし」7点、年齢別「育児・しつけ教室」5点、計32点を厳選した。さらに、ホワイトブック、プレイブック、ガイドブックを加え、「レディバード図書館」(全27巻・別巻8)とした。

(2) ヨーロッパの幼児教育の原点

本シリーズの総合プロデューサーに、ウィングフィールド夫妻にお願いした。夫人のエセルさんは、著名な教育評論家。7年間の小学校教師を経て、5歳以下の保育学校(ナーサリースクール)に15年勤務後、3つの保育学校の校長を歴任した実践家。ご主人のハリー氏は、写実的な絵を描く英国を代表する画家。

特に、別巻の年齢別「育児・しつけ教室」の5点は、イギリスの幼児教育の原点といわれるほど定評ある教育書で、ウィングフィールド夫妻の代表作。教育とは「教え導く」ものでなく、子どもが生来そなえている潜在能力を「引き出す」ことがその本質である。未就学期こそ親は子どもをしっかりみつめ、社会的に自立できるよう導くことが大切。小学生になったら、一人前のジェントルマン、レディとして、親は子に接するようにせよ、と明快に語る。子どもの年齢に応じ、さまざまな状況にどのように対処すべきか、どのように演出していけばよいか、子どもの知りたい欲求をどう刺激すればよいか、わが子の教育にたずさわる両親へさまざまなヒントをわかりやすく提言する。

(3) 英国一流の画家によるユーモアあふれる1000点をこえる絵

ハリー・ウィングフィールド氏は、本シリーズ32点のうちの17点の絵を担当。そのほかロバート・ラムレイ、マーチン・アイチソン、ベトラ・ストーンら英国を代表する画家によるはっきりとした色使いによる作品が目白押しで、どのページを開いても何かしらの感銘を呼ぶのはさすがだ。さらに、あちこちに英国特有のユーモアがちりばめられ、こだわりと子どもたちへの暖かいまなざしが感じられる。

投稿日:2005年12月05日(月) 09:42

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)