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やさしい昔ばなし 5

前回に続き、「レディバード図書館」シリーズのおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう

(25) こびとと くつやさん

グリム童話にでてくるお話です。「グリム童話」と普通呼ばれている童話集は、正確にはグリム兄弟の創作集ではなく、兄弟がドイツのいろいろな地方に昔から伝わっている物語や伝説を集めて、独自の語り口で再構築したものです。ドイツ民族が先祖から受け継いできた魂を、やさしく親しみやすく紹介したので、世界じゅうの子どもたちの心をとらえてはなしません。この話は、そんなグリム兄弟の暖かい心が流れている作品です。人のいい靴屋の夫婦と、やさしい小人たちとの心暖まる交流は、幼児の胸にも素直に溶け込んでいくにちがいありません。

こびととくつや1毎日、一所懸命はたらく靴屋の老夫婦でしたが、いつも貧しく、ある日、わずか1足分の皮革を残して廃業を決意します。しかし、翌朝起きてみると、皮は素晴らしい靴に仕立てあげられていました。そして、翌日もそのまた翌日も、目をさますと、毎朝素敵な靴が置いてありました。その靴が評判をよび、商売は大繁盛。幼児ならだれでも、夜中にだれかがこっそりやってきて、素敵なプレゼントを置いていってくれたら、どんなにすばらしいだろうと考えたことがあるはずです。このお話の導入は、まさに幼児の心理を巧みにとらえているといってよいでしょう。

こびととくつや2そして、だれがそんなことをしてくれるのだろう、という謎ときの興味につながり、それが2人の小人とわかったとき、子どもたちの心は完全にファンタジーの世界にとけこんでいきます。やがて、老夫婦が、小人のために靴と服と帽子と靴下を作ってやることになりますが、これまでプレゼントされるおじいさんおばあさんをうらやましく思っていた子どもたちは、こんどはプレゼントする喜びを発見します。

こひととくつや3寒々とした身なりをしていた2人の小人が、プレゼントされた服を身につけて大喜びするところは、心地よい暖かさとともに、いつまでも子どもの心に住みつづけることでしょう。そんな小人の存在をいつまでも信じられる、想像力豊かな子どもであってほしいものです。

投稿日:2006年01月12日(木) 09:57

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)