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やさしい昔ばなし 2

昨年12月28日号に続き、いずみ書房が英国レディバード社から翻訳権を得て、1985年に6番目のシリーズとして刊行した「レディバード図書館」のおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう。

(22) にげだした ホットケーキ

ホットケーキ1この話も 「ひよこのリキン」 と同じような典型的な繰り返し話です。逃げだしたホットケーキをみんなで追いかけるという、いたって単純なストーリーですが、そのユーモラスでしかもリズミカルな展開は、お話になれていない幼児にぴったりです。しかも、子どもたちの大好きなホットケーキが主人公ですから、それだけでも興味深いイギリスのお話です。1700年代後半に生まれた比較的新しい昔ばなしだといわれています。

ホットケーキ2お母さんのつくるホットケーキを待っている7人の子どもたちの姿は、まさにお話を聞く子ども自身の姿であり、焼けるのを今か今かと待つ気持ち、やっと食べられるかと思ったところが逃げられてしまう悔しさ、ホットケーキを必死に追いかけるすがた、最後にブタにたべられてガッカリした気持ち。子どもを作品の中に参加させて、ハラハラドキドキ、空想の世界に遊ばせますが、最後には現実に引きもどし、子どもに現実をいじくりまわすことを許さない厳しさがあります。その点は、「ひよこのりキン」 にも共通するテーマだといえましょう。

ホットケーキ3

投稿日:2006年01月06日(金) 09:58

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)