前回に続き、「レディバード図書館」シリーズのおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう
(24) めんどりと むぎ
この話もイギリスの昔ばなしです。「働かざるもの食うべからず」ということわざがありますが、このテーマを幼児にもわかりやすく描いた物語です。このような教訓的なテーマは、とかく堅苦しい話になりがちですが、幼児に身近な動物と日常生活の実感を通して展開されているので、説得力があります。
めんどりが、麦の落ち穂を拾います。友達のねこと、ねずみと、ぶたに、いっしょに種まきをしようとよびかけますが、だれも手伝おうとはしません。しかたなく、めんどりだけで、種まきをします。やがて収穫の時期がやってきて、こんどは、麦刈りをしようとよびかけますが、なまけ者の3びきは、また拒否します。同じように粉ひきも、パンを焼いてもらいに行くことも拒否します。ところが、焼きたてのパンの香ばしいにおいをかいだ3びきは、めんどりに「パンをたべるのを手伝いたいか」といわれると、口々に手伝いを申し出ます。
しかし、めんどりは、きっぱりとことわって、みんなの前で食べてしまいます。めんどりは、いじわるなのではなく、なまけ者の3びきを戒めていることを子どもたちに理解させ、ひとつのことをなしとげるにはお互いに助け合ってはじめて、喜びをわかちあえるということを知らせてあげましょう。