この当時は、どこの国も、少数の王や貴族の下にたくさんのまずしい人たちがいて、それが何代もくりかえされていました。貧しさにいためつけられている人びとは、キリストの教えをひたすら信じ祈りました。
やがてキリストは「ローマにそむいて新しい国をつくろうとした」とみられ、十字架にはりつけにされて死にました。キリストの教えを信じる教徒たちは、いろいろな迫害をうけましたが、キリスト教はますます広がってゆきました。
とうとう時のローマ皇帝コンスタンチヌスはキリスト教をみとめることになりました。後にローマ帝国の国教となり、キリスト教はヨーロッパのすみずみまでしみわたってゆきました。
キリスト教の繁栄に対して、国をなくしたユダヤの人たちは、2500年という気の遠くなるような月日のあいだ、いつか自分たちの国をもちたいと世界じゅうをさまよい歩きはじめました。しかし、どの時代の人たちも、ユダヤ人にやさしくありませんでした。
さきの第2次世界大戦でも、ナチスドイツ軍のために600万人の仲間がユダヤ狩りで殺されました。「アンネの日記」の少女アンネも、そのぎせい者のひとりでした。
戦争が終わって1948年、国際連合によってやっと、イスラエルはいまの地に国がみとめられたのですが、こんどは、イスラム教徒のアラブ人たち100万人が土地をおわれることになりました。こういういきさつから、現在もイスラエルとアラブの国ぐにとの間に、にらみあいがつづき、血を流すテロや戦争がたえないのです。