戦争の原因はまた、エルサレムにもあります。エルサレムは聖都といわれ、ユダヤ教のイスラエルの人たちはもちろん、キリスト教やイスラム教の人びとから、あがめられているところです。
そこにある「なげきの壁」は、むかしローマに滅ぼされ、国を失ったときの、悲しみやなげきをうつす壁として、長くイスラエルの人びとの心にきざみつけられてきた記念碑です。イスラム教の人たちにとっては、マホメットにゆかりのある「岩のドーム」があります。
はりつけにされるキリストが、自ら十字架を背負ってゴルゴダの丘まで歩いたという道も、エルサレムにあります。信者たちは、その道を「悲しみの道」とよんでいます。
このようにエルサレムは、宗教や政治の中心地として長い歴史のなかにおおくの戦争のきずあとを残してきたのです。十字軍はエルサレムをイスラム教の国の支配からうばいかえすために、キリスト教の国ぐによってつくられた騎士団でした。
そしていまなお、エルサレムをめぐる人びとの感情の対立がつづいています。現在のイスラエルという国ができた1948年から今日まで、中東戦争といって、イスラエルとまわりのアラブの国との間に戦争がたびたびおこり、いまやっと平和のとりきめにこぎつけたというわけです。
苦難の道をあゆんできましたが、イスラエルの人たちは明るくりっぱな国づくりにはげんでいます。キブツという集団で農業や工業をおこなう集団があって、若者たちが労働に汗を流しています。