児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ Top >  子どもワールド図書館 >  テレビ番組が世界への眼を開かせる

テレビ番組が世界への眼を開かせる

1980年に出版した「子どもワールド図書館」の刊行の動機は、割と単純な発想からだった。わが子とテレビを見ながら考えたことなのだが、当時「世界名作劇場」という番組があり日曜日の夜7時30分から30分間、フジテレビで放送されていた。「アルプスの少女ハイジ」とか「母をたずねて三千里」、「あらいぐまラスカル」「ぺリーヌ物語」「フランダースの犬」「トムソーヤの冒険」といった世界各地を舞台にした良質で楽しいアニメを子どもたちは夢中になって見ているわけで、それがおとなにも面白い。

「アルプスの少女ハイジ」は、スイスのアルプスとドイツのフランクフルトを舞台にした話だし、「母をたずねて三千里」では、イタリアのジェノバにはじまって、アルゼンチンのブエノスアイレスからコルドバまでを旅する話だ。そういう地理的な背景がわかれば、さらに感銘の深い話としてとらえることができるのではないか、そして物語の舞台となっているさまざまな国や各地方、各都市の表情がわかればなお印象的だし、そこに住む人たちも自分たちと同じように毎日の生活を営んでいるのだという広い世界を自覚し、ひいては国際感覚を身につけさせるよいチャンスだと考えたわけである。

そこで、そういう刊行物を求めて書店や図書館をたずねてみた。ところが、そこにあるのはいわゆる旅行ガイドブックの類かおとな向の文化誌くらいしかない。子ども向きのものはせいぜい中学生向の「世界地理」の副読本がせいぜいといった状態だった。

投稿日:2005年09月26日(月) 11:04

 <  前の記事 「子どもワールド図書館」のタイトル  |  トップページ  |  次の記事 世界を見据える英国  > 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://mt.izumishobo.co.jp/mt-tb.cgi/747

         

2014年08月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ

 

Mobile

児童英語・図書出版社 社長のこだわりプログmobile ver. http://mt.izumishobo.co.jp/plugins/Mobile/mtm.cgi?b=6

プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)