いっぽう、子どもの本の世界一盛んな国である英国に目をやると、マクドナルド・エデュケーショナル社をはじめ、さまざまな出版社がこの種のシリーズを刊行している。ここでも、同じ島国でありながら世界を見据える視野の深さ、国際社会への理解の違いというものを強く感じたものだった。そんな英国でも、マクドナルド社は一歩先んじているようで、幼児向に Places というジャンルがあって、世界の主だった国20ヵ国を1ヵ国1冊で刊行している。さらにこの出版社では、小学校上級以上を対象にした Countries シリーズも刊行していて、このシリーズの一部は、ポプラ社が翻訳出版を開始していた。
当初は、世界の国々をわかりやすく幼児向に紹介したシリーズを構想していたが、何人かの幼児や小学生を持つ親、あるいは先生方と話をしている中で、教育熱心なわが国の情況を考えた時、学習に役立つ工夫をこらす必要性を感じた。その結果、次の5つの特色を打ち出すことにした。
(1) 21世紀に活躍を期待される子どもたちに、世界を見つめる広い視野を育てる。
(2) 世界主要100ヶ国の社会や文化、風土や歴史を、それぞれの国や民族の立場にたって公正な眼でとらえる。
(3) 社会、地理、歴史など、小中学校の教科書に登場する重要テーマを網羅する。
(4) 2000点を超えるイラスト、簡潔な記述など、子どもたちが世界に親しみを感じるためのさまざまな工夫をする。
(5) 国際感覚を身につけるには世界の中の日本をしっかり知る必要があるため、日本の現状を地方別に7冊に分けて明確にとらえる。