こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 65
「うちの子は気が弱いのか、人前でちゃんとお話ができません。園でも引っこみ思案のため、友だちが少ないみたいで困ったものです」
こんなぐちを耳にすることがあります。でも多くの場合 「困ったものだ」 と、子どもに責任を押しつけるのはまちがっているように思います。子どもを無口にする、恥ずかしがりやにする、引っこみ思案にする、消極的にする。これは、たいていの場合、むしろ、親に、あるいは家庭のあり様にこそ 「困った」 問題を含んでいることが少なくないからです。
端的にいえば、親が引っこみ思案であれば、子どもも引っこみ思案になります。親と子どもの会話や家庭内での家族の会話が少なければ、子どもも無口になります。子どもは本来、はしゃいだり、おしゃべりしたりするのが好きなのに、それに答えてくれる家庭環境がなければ、子どもはその本来持っているものを、自分でしぼませてしまっているに違いありません。
幼稚園や保育園で傍若無人にふるまう子がいます。これは、家庭であまりにもわがままを許されているか、全く逆に、いつも抑えつけられているかのどちらかのようです。子どもには、自分の親がいい親なのか悪い親なのかわかりません。とにかく親のまねをする、親のいうとおりにする。このことに秘められている恐さを、よく知っておかなくてはなりません。