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まわりと比べて育てることの愚かさ

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 56

バスの中で耳にした、二人のお母さんの会話です。
「わたし、変わり者あつかいされたのよ」
「何で?」
「うちの子は、進学のときに不利でも、塾に行かせたくない と言ったの。そしたら、あなたも変わってるわねだって」
「そんなことを言ったら、変わり者と言われても仕方がないわよ」
「どうして? みんなと同じことをしない、同じように考えない、ただそれだけで変わり者ときめっけるのは、おかしいんじゃない?」
「理屈はそうだけど…」
「理屈じゃないわよ。わたしは、むしろ [まわりがそうだから、うちの子も] というほうがおかしいと思うの。その [まわりと同じでないと] という考えが、子どもたちの中にも定着して、それが、みんなと違う子をいじめるということにもつながっているのではないかしら…」
このあとの会話は、こちらがバスを降りたため聞くことができませんでしたが、変わり者あつかいされたことに怒っていた母親の言葉は、しつけの一番大切なこととして心に残りました。

多くの母親は [まわりに負けないように] [まわりに笑われないように] [まわりより少しでもよくなるように] などと、自分でも気づかないうちに、まわりとの比較において、わが子を導いたり評価しているようです。まわりを見まわし、親が勝手に平均値のようなことを決めて、わが子がそれより劣っていると判断すると [おまえはだめな子、もっとしっかりしろ] と尻をたたく。これは、とてもおかしな話ではないでしょうか。

まわりを物差しにしないで、子ども自身をよく見つめて導いたり評価する、これが子どもに [自分を確立させる] ことにつながるのだとおもうのです。

投稿日:2007年10月22日(月) 09:09

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)