こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 41
親と子の会話をとおして、子どもに、他人への思いやりの心を育てる方法があります。親が思いやりの心の大切さを口で説くのではありません。親子の会話をとおして、子どもをいつのまにか聞き上手にして、他人の考えをやさしく受け入れる心を育てていくのです。
概して、子どもは自己中心的ですから、人と話をするときも自分の言いたいことだけ言うと、あとは相手の話を聞こうとはしません。そのうえ、多くの場合、自分の言ったことに少しでも反対されようものなら、怒ったりさえします。
そこで、子どもがなにか訴えてきたときなど、まず、母親が聞き上手になって、しっかり聞いてやり、頃合いをみはからって 「じゃ、こんどは、お母さんの話も聞いてね」 「お母さんも、きょうこんなことがあったのよ」 「お母さんは、こう思うけど、どうかしら」 などと語りかけながら、自然に子どもを聞き役にまわらせ、相手の考えや言い分にも耳をかたむけるように誘いかけたらいかがでしょう。
子どもは、人と話をするときは、自分がしゃべるだけではいけない、相手の話を聞くことも大切なのだ、ということを体験的に覚えていき、それは、人の考えをやさしく受け入れることにも、人の気持をあたたかく思いやることにもつながっていきます。
この習慣が身について、小学校の中学年にもなると、グループからはずれて1人でだまっているような子には、自分から近づいて行って 「どうしたの」 と声をかけてやるような心づかいさえ生れてくるものです。
どんな時にも、子どもが真剣に話しかけてきたときには、母親も誠実に相手をつとめてやることを、忘れてはなりません。