最近、「吉祥寺スタイル―楽しい街の50の秘密」 (文芸春秋社刊)という本が出版されました。
著者は、一昨年 「下流社会」(光文社新書)という80万部をこえるベストセラーとなった本(「下流社会」は氏の造語で流行語となった)を著わしたマーケティングアナリスト・三浦展氏と、日米の住宅地、街路、ホテル、テーマパークの景観設計を手がけるプランナー・渡和由氏との共著。19年間吉祥寺に住み続ける三浦氏が、都市計画の専門家に協力を求めて、50の視点で面白く分析した「吉祥寺をモデルに、好ましい町とは何かを考えた本」といってよいでしょう。
町を考えるとき、徒歩400m圏、800m圏に何があるか、ひとつのポイントになるそうです。そして、800m、1600m圏にいかに自然が残っているか、また交差点の数といったようなことがらが、都市の分析には大切な要素なのだそうです。
「吉祥寺は駅から徒歩400m圏になんでも揃っている。デパートも住宅も学校も、飲み屋も八百屋も郵便局も公園もある。だから歩いてなんでもできる。[半径400mの街] は、実はアメリカの最新都市計画家がめざしている理想の規模である。400mは時速4キロで歩いて6分。ほぼバス停の1つ分の距離だ。子ども連れでも老人でも、だれでも気軽に歩ける距離だ。吉祥寺は、その半径400mの中に歩きまわりたくなる要素(レストラン、雑貨屋、喫茶店など)が詰まっている。だから楽しいのだ。しかも、その先の半径800mの範囲にも行ってみたくなる要素がある。(神田川、玉川上水、動物園など)。安心して楽しく歩けて、いろいろなものに出会える。歩安感があれば保安官はいらないのである」(同書 50テーマのうちの1つ「ショー店街―店の中と外の境界がない劇場」より一部引用)
当社も吉祥寺に本社(駅より800mメートル圏内) を構えてから早くも16年、会社まで徒歩圏に自宅を移してから7年になるので、井の頭公園を通って吉祥寺の町を歩くことが多く、歩くたびに、なかなかよい街だなと実感はしていました。でも、こういう専門家がその良さを分析してくれると、なぜか自分がほめられているようで、気分はよいものです。
特に駅に隣接した、「まぐろのなかだ屋」「珍来亭」など私のお気に入りの店のある、狭い路地に100軒近くの小さな店がひしめく「ハモニカ横丁」を高く評価しているのもとてもうれしい。ハモニカ横丁をつぶして新しいビルにするという計画は「絶対反対」と思っていただけに、心強い味方が現われたと本書を推薦しまくっています。みなさん、ぜひ近くの本屋で手にとってみてください。
なお、吉祥寺の北口徒歩3分のところに、本日「ヨドバシカメラ」が開店します。近鉄デパートの跡地で、三越・大塚家具が入居していましたが、昨年5月に閉店していました。「ヨドバシカメラ」は、地下1階から地上5階まで、都内では秋葉原についで2番目の規模ということです。6階から8階にはユニクロやタワーレコード、飲食店街が7月6日からオープンするそうで、吉祥寺の人の流れが変わるかもしれません。