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ごほうびは、物より心を

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 38

子どもが、とくによいことをした、見ちがえるようなことをした、大きな約束を果たした、よくがんばった……こんなとき、どんな親でもほうびを与えたくなりますが、いま、この 「ほうび」 でもっとも多いのが、お金です。あるいは、お金でなにかを買って与えることです。
しかし、お金によるほうびを与えるのは、あまりのぞましいことではありません。それは、いつのまにか、お金ををもらうための不純な行為を生むと同時に、人間の心の行為をもお金の価値に置き換えてしまう打算を、あたりまえのこととさせてしまうからです。
お金を与えることによって、子どもがむだ遣いをおぼえ、それが非行につながる恐れもあります。また、お金の価値感覚を失ってしまう恐れもあります。しかし、なんといってもいちばん恐いのは、子どもの心をお金が征服するようになっていくことです。
では、子どものがんばりに報いてやるには、あるいは、さらにはげますにはどうするか、それは、心で報いることです。
「この子は、こんなすばらしいことをしたんですよ」 と、父親の前でもほめてやる、よその母親の前でもほめてやる、よろこびを先生にも伝えてやる。もし物を与えるならば、母親が自分の手で心をこめて作った物、たとえば、きれいな押し花や押し葉、小さな手芸品、それから 「お父さんがたいせつにしている物」 「お母さんがたいせつにしている物」 などを贈ることです。
ほめるべきことは、結果よりも心です。がんばった成果よりも、がんばった心です。それならば、心をほめてやるべきであり、心をほめるなら、心の贈り物によって報いてやることこそ、たいせつではないでしょうか。

投稿日:2007年06月18日(月) 08:51

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)