こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 38
子どもが、とくによいことをした、見ちがえるようなことをした、大きな約束を果たした、よくがんばった……こんなとき、どんな親でもほうびを与えたくなりますが、いま、この 「ほうび」 でもっとも多いのが、お金です。あるいは、お金でなにかを買って与えることです。
しかし、お金によるほうびを与えるのは、あまりのぞましいことではありません。それは、いつのまにか、お金ををもらうための不純な行為を生むと同時に、人間の心の行為をもお金の価値に置き換えてしまう打算を、あたりまえのこととさせてしまうからです。
お金を与えることによって、子どもがむだ遣いをおぼえ、それが非行につながる恐れもあります。また、お金の価値感覚を失ってしまう恐れもあります。しかし、なんといってもいちばん恐いのは、子どもの心をお金が征服するようになっていくことです。
では、子どものがんばりに報いてやるには、あるいは、さらにはげますにはどうするか、それは、心で報いることです。
「この子は、こんなすばらしいことをしたんですよ」 と、父親の前でもほめてやる、よその母親の前でもほめてやる、よろこびを先生にも伝えてやる。もし物を与えるならば、母親が自分の手で心をこめて作った物、たとえば、きれいな押し花や押し葉、小さな手芸品、それから 「お父さんがたいせつにしている物」 「お母さんがたいせつにしている物」 などを贈ることです。
ほめるべきことは、結果よりも心です。がんばった成果よりも、がんばった心です。それならば、心をほめてやるべきであり、心をほめるなら、心の贈り物によって報いてやることこそ、たいせつではないでしょうか。