2、3日前、いま東京国立博物館で開催されている「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」開催の影の功労者である藤ひさし氏(4/5号参照)の誘いで、イタリア文化会館とフィレンツェの会場を同時に結ぶ「遠隔シンポジューム」というのを見てきました。400人以上も集まったホールには、イタリア会場と共通映像の2つの大型画面が映し出されています。訪日中のロマーノ・プローディイタリア首相のあいさつにはじまり、日本の学者、イタリアの学者らの講演が、映像とワイヤレス・ヘッドホンで翻訳された言葉で聞くことができます。日本とイタリアを高速回線で結ぶ「デジタル・イメージ・システム」という日立製作所の情報通信技術がこのようなことを可能にさせたということですが、日本の最先端の技術はここまできていたのか、何ともすごい時代になったものだということを実感しました。
終了後ホールの外に出ると、「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」にも飾られていた「受胎告知」の原寸大の複製画が飾られていました。このホンモノと見まがうほどの精密な複製は、高精密デジタル技術といって、デジタルカメラで実物を分割撮影したあと、ドラムスキャナとコンピュータで画像データのひずみをなくして結合した上、原寸大にプリントするという手間のかかる作業でできあがったそうです。この複製画制作にたずさわったという日立製作所の試作開発センタの担当者を藤氏に紹介してもらってわかったことですが、もしこの複製を譲ってもらいたいといった場合いかほどになるかという質問に対し、「原価が500万円ほどかかっていますから、数百万円というところでしょうか」ということでした。実物の何万分の1の価格です。どなたかお買いになりませんか。