今の親が生まれ育ったのは、昭和40年代のはじめから55年前後の15年間ほどです。それ以前に子ども時代を過ごした親たちと決定的に違うことがあります。それは、生まれたときから家にテレビがあり、そのテレビも草創期を終え、白黒からカラーになって視聴率競争が激化、そのあおりから子ども向け番組も、一部良質な番組はあるものの粗製乱造され、朝の時間帯から夕方の2〜3時間は、子どもたちがテレビにかじりつくという習慣が身についてしまいました。
これまでは、園や学校が終わった後は、友だちと外で遊びまわり、さまざまな体験をすることによって、子ども社会のルールを身につけていた時間が急速に失われていきました。
日本中のほとんどの家庭が一度にそうなっていったのですから、私たちの生活そのものをまったく変えてしまった大事件といっても言い過ぎではありません。テレビというのは、映像そのものを相手におかまいなく次々に見せていきます。そのため、イメージをふくらませる、想像する、じっくり考えてみるという余地を視聴者にまったく与えてくれません。
テレビアニメの多くは、勧善懲悪の見本みたいなもので、ヒーロー、ヒロインが悪者どもをやっつけるストーリーです。ハラハラドキドキしながらも、最後には悪者を必ずやっつけて終わることになっています。(以下次回)