● 「またあの小僧がきてる」といわれるほどの図書館通い 五重塔の建立に命をかける、二人の大工の情熱と争いと友情を描いた代表作『五重塔』で知られる露伴は、生れつき体が弱く、幼年期には医者からなんども見はなされたほどでした。5歳で手習いを始めたころ目を悪くして、ほとんど盲目同様になっ...
● 豊かさと貧しさを共に体験 主人公のノラが、最後に、妻や母であるまえに1人の人間として生きることを求めて家を出て行く『人形の家』。この3幕の社会劇で世界的に名を高めたイプセンは、ノルウェーの小さな港に生まれました。父は、裕福な貿易商人でした。 ところが、イプセンが8歳のとき、父...
● 神経質で、しょっちゅう自家中毒にかかる 「潮騒」 「金閣寺」 などの名作で知られる三島由紀夫は、子どものころ、たいへん、ひ弱でした。生まれつきではなく、あまりにも祖母にかわいがられすぎたのです。しょっちゅう自家中毒の症状を起こしては、みんなを心配させました。 6歳で学習院へ入...
● 小学校も満足に通えず、人前で役者きどり 史上最大の劇作家といわれるシェークスピアは、イギリスのストラトフォード・オン・エーボンという小さな町に生れました。 父は、町長のような地位にまでついたことのある人物でしたが、シェークスピアが生れたときには、すっかりおちぶれていて、農産物...
● 木登りもできない弱虫でも、学ぶことはだれよりも好き 結核で35歳の短い生涯を終えた子規は、子どものころから、ひよわでした。仲間とけんかをすれば、きまって負け、いつもしくしく泣きながら家へ帰っていきました。 木のぼり遊びのときは、どうしても自分だけのぼれず、みんなに笑われました...
● 広大な修道院で母とくらしながら、深いものを見つめる心を育てる たったひときれのパンを盗んだばかりに19年も牢獄に入れられ、激しく社会を憎みつづけたジャンバルジャンが、出獄後、1人の神父に出会ってから社会への愛に生きることを誓い、悪人はどこまでいっても悪人だという社会の考えに打...
● おとなが読む文学書をかたっぱしから読み続ける 龍之介が小学校3年生のときのことです。このとき、中国大陸で北清事変が起こっていましたが、龍之介はときどき、両国広小路の絵草子屋へ戦争の絵を買いに行きました。ところが、その戦争の絵の中で死んでいるのが中国人 (義和団) ばかりだとい...
● 父の営む本屋の書棚の前にすわりこんで読書 『トロイメライ』という名曲があります。ピアノ曲集『子どもの情景』の中の7番目の曲です。バイオリンやチェロで演奏されるこの曲は、花園の夢にでもつつまれて安らかに眠っている子どもの姿を、まるで絵のように思いおこさせます。 数多くのピアノ曲...
● 10歳で藩主の前で古典を講義する 長州藩 (長門国・今の山口県の一部) の身分の低い杉家の次男として生れた松陰は、4歳のとき、おじの吉田家の仮養子となり、翌年、そのおじが死んだため正式に吉田家を継ぎました。吉田家は、藩の学校明倫館で山鹿流の兵学を教える家柄でした。 吉田家を継...
● 父の言いつけをこばめば、いつもムチで打たれた 4大戯曲 「かもめ」 「ワーニャ伯父さん」 「三人姉妹」 「桜の園」 を書いたチェーホフは、ほんとうは生まれつき明るい性格でした。 ところが、少年時代、その明るい性格を、いつも押し殺していなければなりませんでした。食料雑貨店を営ん...
● 姉にいたずらして、土蔵にとじこめられる 「六つ七つになると思い出もはっきりしている。私は、たけという女中から本を読むことを教えられ、二人でさまざまな本を読み合った。たけは私の教育に夢中であった。私は病身だったので、寝ながらたくさんの本を読んだ。読む本がなくなれば、たけは村の日...
● 棒切れでバイオリンを弾くまねをして笑わせた ハイドンの父親は貧しい車大工でした。しかし、いつも心の豊かさを大切にし、とくに音楽が好きでした。母も、神を深く信仰する心のやさしい人でした。 4歳のころには、父の弾くハープに合せて、美しい声で歌うようになりました。棒切れでバイオリ...
● 小さな手に持つ薬をすがるようにして売る行商の旅 親の行商から行商への旅で、小学校を10数回も変わった芙美子は、11歳のとき、親子3人で尾道へやってきました。まもなく芙美子は、町の人たちから“オイチニのむすめ”と、よばれるようになりました。父が、日本一薬館という薬屋から、軍服ま...
● 古い大工道具で遊びながら、物づくりのおもしろさを知る 蒸気機関を発明したジェームス・ワットは、スコットランドの西海岸のグリノックという港町に生まれました。父は船大工でした。船大工といっても、グリノックは小さな港町でしたから、家も建てれば棺おけも作るという、貧しい大工でした。 ...
● 両親、兄弟、祖父母を失い、深い孤独感にさいなまれる 医師の家に生まれた康成は、2歳のときに父を亡くしたうえ翌年には母をも失い、両親の顔も愛情もほとんど知らないまま、母の実家の祖父母のもとへあずけられました。このとき、よその村のおばの家へあずけられたたった1人の姉も、それから1...
● 教室の窓から逃げ出して城跡にねころぶ 啄木は5歳で小学校へ入学しました。父 (村の寺の住職) に早くから読み書きを教わってきた啄木は、わが子を自慢に思う父の計らいで、人よりも1年早く入学したのです。 1年のときは病弱で欠席が多かったため、あまりよい成績ではありませんでしたが、...
● 船で商売の旅にでた父を、ひたすら待ち続ける マルコポーロは、15歳になるまで、父の顔を知りませんでした。 父は、マルコがまだ母のお腹の中にいるときに船で商売の旅にでたまま、もどってこなかったのです。 マルコは、母から父の話を聞き、いつもベネチアの港へ行って、心にえがいた父を待...
● ぼうしも菓子もすてて逃げた 小学校へ行きはじめたダーウィンは、山や森で、虫や鳥をかんさつするのが、とくいでした。でも、ふだんは、ほかの子どもよりも、すこし、ようちでした。 ある日のこと、ひとりのいたずらっこの友だちが、ダーウィンをお菓子屋へつれていくと、お菓子をかったのに、お...
● カレイになるといわれ、岩の上でカレイになるのを待っていた 良寛は、子どものころの名を栄蔵といいました。 ある日のことです。夕方になっても外へ出たまま栄蔵がもどってきません。母は、家のものといっしょに、あたりをさがしました。 すると栄蔵は、もう薄暗くなった海岸の岩の上に、海のほ...
● 人一倍つよかった負けん気 小学生のころのケネディは、偉人の伝記を読んだり、国の歴史の本を読んだりして、ひとりで静かに考えてすごすのがすきでした。しかし、負けん気は人いちばいつよく、ふたつ年上の兄とレスリングやボクシングをしては、負けても、負けても、兄にむかっていきました。ふた...