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伝記 「ナイチンゲール」

10年以上にわたり刊行をし続けた「月刊 日本読書クラブ」の人気コーナー「本を読むことは、なぜ素晴しいのでしょうか」からの採録、第18回目。

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● 自分の考えをつらぬいた信念の強さ
まるで宮殿のような家にすみ、なにひとつ不自由なことはない。王女さまのように、どんなぜいたくなことでもできる。それなのに、少女のころから看護婦をこころざし、ロンドンの女子病院の監督になったのち、クリミヤ戦争では自分からすすんで野戦病院の看護婦総監督をつとめ、帰国後は看護学校の設立にも力をつくしたナイチンゲール。このナイチンゲールの伝記を読んだ子どもたち (小学校3〜6年生) は大きく、二つのことについて深い感銘を受けています。
まず一つは、ナイチンゲールの信念の強さへの感銘です。「看護婦なんて、きたない仕事、身分のいやしい女のする仕事ときめられていた時代に、自分からすすんで、その苦しい道をえらび、いちど決心したら、だれがなんといっても、その決心をかえなかったナイチンゲールは、なんと強い心をもっていたのでしょう」 「かわいそうな病人のいる家へ、おみまいや手つだいに行っては、なみだをながすような、やさしい女の子だったのに、どうして、あんなにつよい信念をもつことができたのか、ふしぎなくらいです」 「自分がえらんだ道を、どんなに苦しくてもとちゅうでなげださないで、さいごまで、自分のすることに責任をもったこと、これが偉大です」 「ナイチンゲールがすばらしいのは、りっぱなしごとをしたことよりも、じぶんの考えを、死ぬまで、まもりとおしたことだと思います」。
子どもたちは、その感銘を、このように記しています。そして、いつも楽しいことばかりを追いかける自分、なにか始めても、いやになればすぐやめてしまう自分、いちど口にしたことに責任をもたない自分を 「はずかしいと思った」 「あらためなければいけないと思った」 と反省しています。

● 人の悲しみばかり考えた愛の深さ
また、ある5年生と6年生の女の子は 「ナイチンゲールの強さというのはきっと愛だったのだ」 「自分のことよりも人の悲しみを考える、深い思いやりの心が、ナイチンゲールを強い人間にしたのだ」 「人間は、自分のことばかり考えていると、きっと、ほんとうの強い人間にはなれないのだ」 と、言いきっています。10歳前後の子どもにも、これほど深いものがわかるのです。
子どもたちが感銘を受けた二つ目、これは野戦病院で兵士たちから 「ランプをもつ天使」 とたたえられたことへの感動です。
「寒い冬の夜中、自分はつかれきっているのに、ランプをもって兵士たちをいたわってまわるナイチンゲール、わたしは思わずなみだがでました」 「兵士たちが天使だといったのは、当然です。ナイチンゲールは、神のような心で、兵士たちの苦しさや、かなしさや、さみしさだけを、かんがえつづけたのですから」 「ナイチンゲールは、ただ手でしごとをするのではなく、心で仕事をしたのだ」 「自分を人のしあわせのためにささげることが、ナイチンゲールのしあわせだったのだ」。
子どもたちは、このような感動をもらしています。4年生の子どもが 「自分がぎせいになって、人のためにつくす心、それが、いちばんうつくしい愛だということがわかりました」 と言っており、子どもたちは、ナイチンゲールの伝記から、ほんとうの愛をも発見しているのです。
ある5年生の子どもは 「ほんとうのやさしい人間になることは、たいへんなことなんだ。自分にきびしい心がないと、それはできないんだ」 と語っています。そして、成績のよい悪いで友だちをえらんだりする、いまの自分たちのことを、やはり 「はずかしい」 と反省しています。
ナイチンゲールの伝記は、やさしいものから少しむずかしいものまで、いろいろあります。できれば、子どもの読書力が高くなるのにあわせて、2度でも3度でも、読ませてみることです。読むたびに、あらたな感銘にひたってくれます。

なお、いずみ書房のホームページにある「せかい伝記図書館」のオンラインブックで「ナイチンゲール」を紹介しています。

投稿日:2006年04月20日(木) 09:17

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)